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2008'06.14.Sat.00.55
そういえば…そういえばそういえば……夏夜の感想書いてないってことに今気付いたさおりですこんばんは。

今年こそはきちんと感想書いていこうと思っていたのに。。
こんな自分に少し自己嫌悪です。




さて、今日は"A MIdsummer Night's Dream"、つまり夏の夜の夢の原作についてすこし語ろうかと。


おそらく少しシェイクスピアをかじったことのある方なら、iambic pentameter なんてコトバを聞いたことがあるんじゃないかとは思うのですが。
このiambic pentameterとは、弱強5歩格、つまり詩の一行の中に弱いところと強いところが5個あるというものを使用した詩の書き方です。

例をあげると、

Shall I compare thee to a summer's day?

という有名なソネットの一行目。これを

Shall I compare thee to a summer's day?

みたいな感じに読むわけです。この説明じゃ分かりにくいですが。

で、もちろん彼は上の例のようなソネット(14行の詩のことを、ソネットというのです)だけでなく、戯曲の中でもこういったiambic pentameterを使用しているのです。
ここでアタシがすごいなと思ったのは、貴族、上流階級と職人たちの言葉を区別しているということ。
確かに喋り方が違うのは、日本語だって違うわけですし、当然のことと言えば当然のことなのですが、彼はそれをiambic pentameterを使い、とても美しくなおかつ分かりやすく区別しているのです。
現代英語の話し言葉なら、多少のスペルの欠落や付加、発音の違いなどで表される、イギリスにおける上流階級と下流階級の言葉の違い。
それを彼は、貴族にiambic pentameterな韻を踏んだ文章を喋らせ、一方職人たちには散文のblank verseつまり韻を踏んでいない、普段の私たちが喋っているような言葉を使わせることで、見事に表現したという、画期的なことをしたわけです。
このblank verseの発明は、サレー伯という人の発明なわけですが、シェイクスピア作品の大きな特徴として、blank verseの多用というのは、とても重要なのです。
当時の詩において、韻を踏むということは当然のことで(ここでいう韻とは、脚韻、つまり詩のオシリの部分の音が揃えられているということです)もちろん戯曲も、詩と同じように書かれていた当時、blank verseを使用した戯曲を書いたというのは、斬新なことだったのです。

と、難しいお話になってきましたが、こんなことは本を読んだりネットで検索すればすぐに分かることで、言いたいのはつまり、

「ライサンダーのコトバがステキなのv」

ということです(笑)

授業で"A MIdsummer Night's Dream"を読んでいまして、あまりにライサンダーが美しく乙女なコトバを喋るので、授業中によっちゃんの顔がちらついてなりません。

ということで、今日は原文を紹介。

Helen, to you our minds we will unfold:
Tomorrow night, when Phoebe doth behold
Her silver visage in the watery glass,
Decking with liquid pearl the bladed grass
(A time that lovers' flights doth still conceil),
Through Athens' gates have we devised to steal.

ヘレナに、自分たちはこれから駆け落ちするんだと伝えているライサンダーの台詞です。
さおり訳で直訳すると、(美しい翻訳は、舞台上で松岡和子さんの言葉を聞いていらっしゃると思うので割愛)

ヘレナ、君に僕たちの考えを説明しよう。
明日の夜、フェーベが
水の硝子の中に彼女の銀の顔を見る頃、
液体の真珠で草の葉片を飾りながら
(恋人たちの飛行をいつも隠してくれる頃)
アテネの門を通って、僕たちはこっそり抜け出すんだ。

という感じです。

フェーベとは、月の女神ダイアナの別名。
この作品には、「月」がモチーフとなったものがたくさん登場します。
ダイアナも、呼び名を変えていろんなところに使用されています。
そして、水の硝子とは、水鏡、つまり水面ですね。水面に移った月のことを言っています。
液体の真珠とは、つまり露の事。夜霧に濡れた草葉が、露を滴らせて月の明かりでキラキラと輝いているような状態でしょうか。
そんな、誰にも気付かれない真夜中に、僕たちは駆け落ちするんだというライサンダーの台詞です。

簡単に言ってしまえば、味も素っ気もない文章ですが、こうしてシェイクスピアの手にかかり、ライサンダーの口を借りて言葉にすると、こんなにもステキになるのかと、惚れ惚れしてしまいます。

それにしても、ライサンダーは詩人ですね。
反して、ディミートリアスはあまり詩的な言葉を喋らないような印象を受けます。どちらかというと、少し粗野な、ぶっきらぼうなものの言い方です。
日本人には違いの分からない英語の台詞ですが、こうして読んでみると、結構違いってあるんだなーという発見が新鮮。
そして、やっぱりこうした違いを見極め、ちゃんとした日本語にする翻訳家ってすごいなーと思います。
そして、そういう個性を尊重し、配役し、舞台に乗っけるのって至難な業なわけで。
私としては、すでにもうライサンダー=山本芳樹としてしか見れないのですが(笑)
こういう英語の細かい違いを考えながらシェイクスピアを読むというのもなかなか高尚な気分がして、ステキなんじゃないでしょうか。


あ、言い忘れましたが、このライサンダーの台詞、

Helen, to you our minds we will unfold:
Tomorrow night, when Phoebe doth behold
Her silver visage in the watery glass,
Decking with liquid pearl the bladed grass
(A time that lovers' flights doth still conceil),
Through Athens' gates have we devised to steal.

と、韻もちゃんと踏んでいます。語尾が2行ずつ同じ音なのです。
そのために単語や行を入れ替えたりもしているわけです。
全編こんな感じの言葉遊びで進んでいくわけですから、ホントおもしろいですよね。
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