2009'06.21.Sun.02.07
LILIES、観てきました~!
続きは折りたたみます。
続きは折りたたみます。
もちろんDVDでは観ていたので、ストーリーは熟知していたのですが、やっぱり感動するものは感動するんだな、というのが率直な感想です。
やはり、素晴らしい舞台です。
キャストが変わっても、時を経ても、変わらない何かを持っている芝居です。
きっと、台本がすごく素晴らしいんだとは思いますが。でも同時に、ライフの世界観ととてもあっている舞台なんだと思います。
ただ、やはりすりこみというものがあって、どうしても芳樹ヴァリエと高根シモン、甲斐リディに楢原伯爵夫人、奥田ビロドーに頭で変換して観てしまっている自分に、舞台中何度か気づきました。
いかんいかん、と思いつつも、やはり離れない彼らの強い面影…。
再演、生で見たかったなぁと心の底から思いました。
やはりね、甲斐リディは私の中で一番でした。
今回は芳樹リディだったんですが、それでも甲斐リディが一番だなぁと思ってしまうということは、よっぽど甲斐リディが好きなんだと思われます。
その芳樹リディですが。
もちろん、すごく良かったです。
ファンの欲目ってあるとは思うんですが(笑)でも実際、初演と再演でヴァリエをやっていた芳樹さんがリディをするという挑戦は、とても難しいものだったと思います。
中二階?からじっとヴァリエとシモンのストーリーを見下ろしていた芳樹リディの顔が、とても無表情で、何を考えているのか分からなくて気になって気になって仕方がなかったです。
自分がリディから言われてた台詞を喋り、自分のやっていた役が愛した相手から今度は裏切られ…どんなことを思いながらリディアンヌを演じているんだろうなぁと、思いながら観てました。
不思議なオーラの美女だったと思います。
表情に気持ちを乗せないので、何を考えているのか本当によく分からなかった。いや、これはリディにとっては褒め言葉だとワタシは思っているんですが。
嘘をついて人を喜ばせるという彼女の行為の裏側には、自分自身をも偽り、嘘をついて人々を楽しませねばやっていけない彼女の寂しさがあるとワタシは思ってます。
お金はあるけど、愛に飢えてきた人だからこそ、愛したシモンからの裏切りには相当耐えられないものがあり、だからこそ最後の「男はみんな嘘つきよ」っていう台詞がとてもとても重く圧し掛かってくるんだと思います。
嘘って、彼女にとっては人と交流するための手段であり、同時にじわりじわりと苦しめ続ける麻薬みたいなものだったのかな。
松本ヴァリエは、とても正統派なヴァリエだと思いました。
松本君の演技をいつも見て思うのですが、とても素直な、受け入れやすい演技をしてますよね。
芳樹ヴァリエみたいに癖のある演技ではなく、とてもストレートな演技。
初見の人には、シモンがヴァリエを何故好きになったのか、なぜヴァリエの魅力にシモンが惹かれてしまうのか、リディの「あの子とっても魅力的だもの」っていう言葉が、とても分かりやすい松本ヴァリエだったと思います。
新納シモンは、とても男前でした。
その美しさに誰もがまいってしまう、っていうのがとても説得力のあるシモンでした。
スタイルもいいし…ライフの役者さんを食ってしまうくらいのかっこよさですよね(笑)
林ビロドーは、姑息な感じがとてもビロドーらしかったと思います。
どう成長したら青木ビロドーになるのか、いまいちしっくりきませんでしたが。
少しコミカルなシーンとか、林さん独特のユーモアが随所に散りばめられてて、ビロドーは憎むべき存在だったのですが、何故か憎みきれない存在として新たなビロドー像を見せてくれました。
関戸伯爵夫人。
実はワタシ、他のシーンは涙を必死にこらえることができたんですか、伯爵夫人のラストシーン、パリへの旅立ちのシーンでは、思わず涙をこらえることが出来ませんでした。
もちろんこれは、松本ヴァリエの演技の影響も大きいと思うんですが。
関戸くんの伯爵夫人は本当に純粋な人で、狂っているという印象が薄かっただけに、息子の手によって死を選ぶという選択の辛さがあまりに大きくて、見ていられませんでした。
ものすごーーーーーく久しぶりにライフの舞台の感想を書いたので、何だかすごく違和感があるんですが。
また芳樹さんのことばっか書いてるし(笑)
それにしても、この舞台は、本当に台本が素晴らしいと思います。
キリスト精神が分からない私は、愛だとか好きだという気持ちと死を簡単に結び付けて考えられません。
このお芝居に流れる冷たくて静かな、修道院の廊下の石壁のような空気は、私たちに少しだけブシャールさんの世界観を伝えてくれるけど、結局は理解し切れていないんだろうなと思います。
このお芝居を理解するには、もっともっと勉強が必要だな、と心から思いました。
でも、この舞台を改めて観て、先日行ってきたフランスの修道院を思い出しました。
冬はものすごく寒いであろう石でできた修道院は、どこもガランとしていて、神に身も心も捧げた人々が祈り続ける場として、神との交流の場として、ただそれだけのために作られた場所なんだというのを、実際行って実感しました。
日本人のワタシには分かりづらい感覚ですが、神をより身近なものとして考えたとき、その反対のものとしての悪がいったい何なのか、それは遠いものであるのか、それとも近いものであるのか、暮らしていくうちに分からなくなってしまうんじゃないかなと思います。
ビロドーの心の葛藤、母が言う神が正しいのか、それとも自分の思う神が正しいのか、思春期に揺れる同姓への危うい思いと、それを妨げようとする世間の冷たい目は、ビロドーだけでなく、この舞台に出てくる全ての人の心を締め付けているのだなと思いました。
何だかよく分からない感じになってしまいましたが、台本を購入したので、読んでみてから、キリスト教についてはもう少し考えてみたいと思います。
↑写真は、フランスの修道院での一枚。
石造りの壁は、どこもとてもひんやりとしていて、じめっとした空気を孕んでいました。
なんとなく、こういう石の壁のイメージを、LILIESに持った私でした。
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